生きていくんだ。それでいいんだ。
――――――
“カ チャ リ”
息を整えつつゆっくりと・・
静かに扉を開けた。
「・・・・・・・・・・・。」
ホントに・・・居た。
「・・・・??」
いやでも・・・
ホントに豊川さん・・なのか?
扉を開けた先・・視線の先には、
いつもの後ろ姿は無かった。
猫背では無く・・
背筋をピンと張っている。
煙草はその手に無く・・両手とも左右それぞれのポケットに突っ込んでいる。
柵にもたれるわけでもなく・・
真っ直ぐに、屋上から見えるこの街の夜景を見ている様子だった。