生きていくんだ。それでいいんだ。
「初めまして。本日から刑事課に配属された星野と申します。」
「・・・・豊川です・・。
おはようございます・・。」
「梅田課長から、豊川さんを呼んでくるよう仰せつかりました。」
「・・・・・・・・・・・・。」
豊川さんは右手に持っていた箸を置くと、厨房の方へ顔を向けた。
「カエデさん・・残りはタッパに入れて頂けますか・・?」
「はーい!じゃあ丼もらいますねっ!」
「すみません、お食事中の所を・・。」
「いえ・・いいんです。
いつも全部食べきれないので、
残った分はああやってカエデさんにタッパへ入れてもらってます。
今日のお昼と夜に食べます。」
「・・・それだと逆に足らなくないですか?」
「・・・・・・・・・・。」
タッパを鞄に入れて、お会計を済ました豊川さんと共に店を出る。
それにしても・・立ち上がった後も、店の出入り口に向かうたどたどしい足取りも・・
これだと傍から見たら、
“病人のお父さん”と、“それを介抱する息子”と思われてもおかしくない。