生きていくんだ。それでいいんだ。
関本主任が僕の前に座る。
さっきまでの豪快な出で立ちから、
少し声のトーンが低くなった。
「小栗旬の“BORDER”ってドラマ観たことある?」
「・・・はい?」
「あったら話が早いんだけどなぁ。」
「それなら観たことありますけど・・。」
「お!ホントか?
俺は普段全くドラマ観ないんだけど、
あれだけは他人事じゃない感じがしたから、娘と一緒に毎週観てたんだよなぁ。」
「僕は刑事ドラマばっかり見て育ったクチです。」
「“あれが現実で起きてる”・・
って言ったら驚くか?」
「・・・・・まさか・・?」
「テツさんは・・【死者と話ができる】。」
「・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・。」
「あれ?あんまり驚かないんだな。」
「・・・・すみません・・・
続けて頂けますか?」
「あの人には、視えてはいけないものが視えてる。
だけど独りで抱え込んだ小栗旬と違って、
テツさんは“それを仲間に打ち明ける”という選択を取った。
もちろん初めは誰も信じなかったし、
“マジで頭ヤバい奴”と思われて・・
薬物の検査もされたらしいよ。」
「・・・・・・・・・。」
「最初に信じたのが、
当時係長だった梅田さんだそうだ。
あとは“論より証拠”。
テツさんが被害者と話をして犯人を割り出して、皆がそれに基づき捜査を進めて、
実際にそれで幾つもの難事件が解決されたと同時に、テツさんの力は証明された。」
「・・・・・・・・・。」