生きていくんだ。それでいいんだ。
「転機が訪れたのは“母の死”です。
小学校に上がる前に、
母は病気で亡くなりました。
僕も兄も、三日三晩泣き通しました。」
「辛い経験をされたんですね・・。」
「母はよく、“子供達には好きな事をさせてやりたい”と父に言っていたようです。
最期の時も・・父にそう伝えたらしいです。
だから父もそれからは考え方を改めて、
強制されることなく、
自分達の意思で将来を決めました。
兄は住職を継ぐ。
僕は警察官になる。
だから今ここにいます。」
「・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・。」
2本目の煙草を携帯灰皿に消した豊川さんが3本目に火を付けた。
でもやっぱり・・この人は本当に煙草が似合わない・・・。
「私は生まれ持った力ですが・・
星野君はもしかして・・専浄寺という名家の血筋だからなのか・・
お母様の死という幼い頃の体験があったからなのか・・
予期せぬ目覚め方をしたのかもしれませんね・・。」
「え・・・・・・。」
「星野君・・大丈夫ですよ。
私はともかく・・刑事課の仲間達はみんなとても良い人達ばかりです。
もしかして君は、
運命に導かれてここに配属されて、
私と出会ったのかもしれませんね・・。」
「ど、どういう意味・・・・。」