生きていくんだ。それでいいんだ。
「星野君、今すぐここを立ち去りなさい。今すぐ警察官を辞めなさい。」
「え・・・・。」
「刑事課で扱うヤマは、
ほとんどが殺人事件。
当然、予期せぬ死が訪れた被害者は、
この世への未練・犯人への怒りで強い情念が残ります。
恐らく・・ほとんどの被害者が君に訴えかけてくるはずです。」
「・・・・・・・・・。」
「もし・・もしその力が完全に開花すれば、
私のように全ての死者が視えるようになってしまいます。
私が受ける苦しみを、君のような未来ある若者が味わう必要なんてない。
被害者という名の“死者”と隣り合わせするこの仕事は・・非常に危険です。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・ありがとうございます・・
・・・豊川さん・・・。」
「・・・・・・・・・。」
「でも、視える・視えない以前に・・
僕が警察官になったのは、そんな被害者の人達の為に働きたいと思ったからなんです。
勿論、刑事ドラマの影響というか・・憧れみたいなものもありましたけど、
一番はやっぱり・・
犯罪者と戦って、一人でも多くの被害者を救いたいと思ったからなんです。」
「・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・。」