生きていくんだ。それでいいんだ。


―――――― 


それから、2回引っ越しをしました。


夜逃げ専門の業者さんにお願いをして、

生まれて初めての“男装”をして制服に身を包んで、

業者さんが用意したダミーのトラックに乗り込んで・・。




でも・・ダメでした。


スマホも変えて、SNSも一切やらないようにしたのに・・

“私”がダメなら・・
カレは、“私の友達”に目を付けて・・。


私の友達を尾行し続ければ、
いつかそこに私が現れる。


そうして・・一度目の引っ越しの苦労は水の泡となりました。



「マリの両親には迷惑をかけたくないなぁ。

あ、あと姪っ子ちゃんも。

せっかく第一志望の大学に受かったんだから、卒業まで通わせてあげたいよね。

・・・だから警察沙汰にはしないほうが良いよ?」



警察に相談するという最後の手段は、私の家族に対する“脅迫”で潰されました・・。


もう私に出来る事は、

少しでも地味に目立たず生活する事。
少しでも会う友達を減らす事。

家賃が高くなっても、少しでもセキュリティがしっかりした部屋に住む事。


そうして・・あのマンションで暮らすようになりました。


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