生きていくんだ。それでいいんだ。


「君は、

“辛さや大変さが、
少しでも分かった気がする”

“被害者の痛み、苦しみ、無念さを全て受け止めてきたんですね”

と私の事を気遣ってくれましたが、
ご安心ください。


私は今まで一度たりとも彼・彼女らの事を受け止めた事はありません。

【コイツ、ホントに正直に喋ってるだろうな?】

と全てを疑いながら、
いつも話を聞いています。」


「・・・・あなたは・・・。」


「・・・。」


「あなたは・・被害者の人達を・・
そんな目で視てたんですか・・?」


「時にはカマをかけて。
時には誘導尋問して。

“正直に話している”
と判断出来なければ、

被害者から何を言われようが、
関本主任には一切報告をしません。」


「・・・・・なんて人だ・・・・。」


「・・・・。」


「・・命を奪われた人達を・・
明日も生きたかった人達を・・

泣き叫びながら、怖くて・・
怖くて苦しい思いをした人達を・・

そんな目で視ていたんですか!!?」




「綺麗事抜かしてるんじゃねぇぞ星野。」


「!?」


「こんなオカルトな俺達の力を信じてくれた仲間の皆を危険に晒すわけにはいかねぇだろうが。

被害者の証言を鵜呑みにして、
誤認逮捕でもしてみろ?

梅田や関本に土下座するだけで済むと思ってんのか?」


「・・・・・・・・・・・・・。」



「ゴホッゴホッ!
・・あ、失礼しました。」




目の前で繰り広げられるやり取りに・・気持ちが追いつかなかった・・。


被害者に対する慈悲の無さ。
煙草の煙の向こうで一瞬覗かせた眼光。


誰よりも弱々しい見た目で、
誰が見ても虚弱体質で、

パッと見、頼りなさそうなこの人が・・・・・鬼に見えた・・・。


















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