生きていくんだ。それでいいんだ。
「・・・・君は誰かな?」
「本日よりこちらに配属となりました、星野ヨシヒトです。」
「・・・・あ!星野くんね!
ようこそいらっしゃいました。」
初老男性は“こっちこっち”と手招きをして棚から新しい湯飲みを取り出す。
「セイズ署 刑事課 課長の梅田です。ささっ、どうぞお茶でも飲んでください。」
「ありがとうございます。」
「君の噂は聞いてましたよ。
東派出所は地域の皆さんとの相互信頼が取れてるって有名ですからね。」
「こちらこそ、セイズ署刑事課のお噂はかねがね。ここに配属されて光栄です。」
「じゃあ早速だけど・・
印鑑持ってきてる?」
「はい。言われた通りに。」
「こちらをご一読してください。
内容に同意してくれたらここに署名と印鑑ね。」
「・・・・・・せ、誓約書??」
梅田課長から渡された紙、一番上に書かれている言葉に思わず声を出してしまった・・。
その下には・・
“弊課で執り行う捜査方針、
捜査内容を他言しないこと”
“仲間の事を他言しないこと”
“捕らえた被疑者の取調べ時に、
逮捕経緯を話さないこと”
・・などの事項が他にも何個か羅列されているが、
要約すると、“ここで起きてる事は誰にも言わない”という誓約書のようだった。