生きていくんだ。それでいいんだ。


「ワタルの両親には迷惑かけたくないなぁ。

あ、あと姪っ子ちゃんも。

せっかく第一志望の大学に受かったんだから、卒業まで通わせてあげたいよね。

・・・・だから警察沙汰にはしないほうが良いよ?」


警察に相談するという最後の手段は、俺の家族に対する“脅迫”で潰されました・・。


もう俺に出来る事は、

少しでも、地味に目立たず生活する事。
少しでも、会う連れを減らす事。

家賃が高くなっても、少しでもセキュリティがしっかりした部屋に住む事。


そうして・・あのアパートで暮らすようになりました。





でも・・微かな光というか・・。

こんな俺に芽生えた唯一の希望というか・・。


転職した職場で、俺の事をすごく気遣ってくれた子がいたんです。

何も話してないのに、すぐに俺が“何か悩んでる”事に気付いてくれて・・。


俺はその子に全部打ち明けました。


どうしてこの会社に転職してきたのか。
マリの事を交えて全て話しました。



その後も色々と相談に乗ってくれて・・

軽く拒食症になりかけてた俺の為に、“残してもいいから”って弁当作ってきてくれて・・


ホント・・俺も弱り切ってたから・・
甘えさせてもらいました。




・・・・はい、そうです関本さん・・。

それが一緒に部屋に居たあの子です。

俺達はそんな経緯もあって、
正式に付き合うようになったんです。


今度こそ、幸せを掴もうって・・。


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