リボン~もう1度君に、プロポーズ~
乙國さんは声をあげて泣き出した。

聞かされたその事実に、私たちは顔を見あわせた。

私は1冊の大学ノートを手に取ると、それを広げた。

横からお兄ちゃんと周晴さんが覗き込んできた。

「これは…」

「マジかよ…」

そう呟いた私とお兄ちゃんに対して、周晴さんは何も言えない様子だった。

そこに書いてあったのは、周晴さんのお母さんの苦しい気持ちと悲しい気持ちだった。

「――周子は…田渕さんと同じく社員として入社した…。

彼女を僕が気に入って、彼女も僕と同じで交際を始めて、結婚をした…」

乙國さんが泣きながら、話を始めた。

私は次のページを開いた。

そこに書いてあったのも、先ほどと同じ周晴さんのお母さんの気持ちだった。
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