リボン~もう1度君に、プロポーズ~
乙國さんはシャツのそでで涙をぬぐうと、
「僕がそれを知ったのは、周子の葬式の時だった…。

彼女を担当していた心療内科の先生が葬式にきたんだ…。

そこで僕は周子が誰にも言わずに心療内科を訪ねていたことを知った…。

そして、その先生からノートと周子が受けていたいじめを知った…」
と、言った。

「――僕は…僕は、もう怒ったよ…。

親戚に“何で周子をいじめたんだ、何で周子を追いつめたんだ、お前たちが周子を殺したんだ、お前たちが周晴から母親を奪ったんだ”って葬式の最中だったにも関わらず怒鳴った…。

死んだ周子に、何度も謝った…。

“気づかなくてごめんなさい、そんな状態になるまで追いつめてごめんなさい、僕と結婚してごめんなさい”って、周子の遺影に周子の家族に何度も土下座した…」

そのことを思い出して泣いている乙國さんを私たちは見つめた。
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