リボン~もう1度君に、プロポーズ~
「えっ、ちょっと待って!」

周晴さんが呼び止めようとしたけれど、
「わっ、ちょっと…!」

「希里恵ちゃん、痛いって!」

「ママ…?」

私は2人の背中を押して、大晴の手を引いて、彼の前から立ち去った。

周晴さんの姿が見えなくなったのを確認すると、
「希里恵ちゃん、大丈夫?」

雪穂さんが声をかけてきた。

「大丈夫です…」

私は、ちゃんと答えることができているだろうか?

「なあ、今日はもう帰るか?

俺のコートは次の休みでいいし、他の店を回っていろいろと比べてみるのもいいと思うし」

そう言ったお兄ちゃんに、
「でも…」

私は声をかけた。

「僕がママの手を離したから…?」

大晴はそう呟いて、お兄ちゃんの顔を見た。
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