リボン~もう1度君に、プロポーズ~
お兄ちゃんは屈んで大晴と同じ目線になると、
「違うよ、ママはちょっと元気がなくなっちゃったみたいなんだ。

ママの元気がこれ以上なくならないうちに家に帰ろうって」
と、言った。

「ママの手を離して知らないおじさんと一緒にいたから…」

「大晴は悪くない、ママが元気をなくしただけだから」

悲しそうな顔でお兄ちゃんを見ている大晴に、私は自分の胸が痛くなったのを感じた。

私は、本当に何をやっているんだろう…?

せっかくのお休みなのに、家族みんなで過ごしての楽しいお休みだったのに…。

「希里恵ちゃん」

雪穂さんが私の頭をなでてきた。

「大丈夫」

この人が言う“大丈夫”は、何でこんなにも温かいのだろうか?

冷たかった胸の中が温かくなって行くのを感じながら、私は首を縦に振ってうなずいた。
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