リボン~もう1度君に、プロポーズ~
ドアの前で雪穂さんと周晴さんはもめていた。

何で周晴さんがここに…?

彼に自宅を教えた覚えはない。

「突然家にこられても困ります!

希里恵ちゃんはいないのでお引き取りを…」

「周晴さん!」

私の声に気づいたと言うように、雪穂さんと周晴さんはこちらの方に視線を向けてきた。

「希里恵!」

「帰ってください!」

私の名前を呼んで歩み寄ってきた周晴さんに向かって、私は言った。

「もうやめてくれませんか?

職場はともかく、家にまで訪ねてくるなんて…」

そう言った私に、
「どうしても、希里恵と話がしたかったんだ。

俺の前からいなくなったこととか会社を辞めたこととか、それに…」

周晴さんはそこで言葉を区切ると、私を見つめた。

「大晴くん…あの子の父親は、本当は俺なんだろう?」
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