桜が散ったら、君に99回目のキスを。
*
バスケットボールが地面を弾く音と、シューズのゴムが地面を擦る音が耳に反響する。
接戦の中、私はただぼーっと相馬くんの姿を目で追うことで精一杯だった。
校舎の影で見た2人の姿が忘れられない。
もしかこがこのことを知ってしまったらどうするんだろう。
かこだって私の大事な人だ。
悲しませたくない。
でも、私の想いはどこに捨ててしまえばいいの。
好きだという想いはそう簡単に消えてくれない。
「…ね、かこ」
「ん?」
頬を赤く染めて、祈るように試合を見守っていたかこは小首を傾げて私を見る。
さらり。
細い肩から髪がひと房、滑り落ちて揺れた。
「かこの彼って名前なんて言うの?」
声が震えてはいないか。
私の見間違いなんじゃないか。
そんなことを考えた。
でも、
「相馬聖利。かっこいい名前でしょ」
かこは私の知らない相馬くんの下の名前を知っていて。
また喉の奥が熱くなってぐっと堪える。
「うん、いい名前」
そう言って笑うのは優しさなんかじゃない。
かこに対する嫌な気持ちというのは全くと言っていい程なく、祝福の気持ちも、上手くいって欲しいという願いでさえ変わることはなかった。
自分の中に生まれる感情が、いつも同じ方向を向いているとは限らない。
ただ、それだけのことだ。
バスケットボールが地面を弾く音と、シューズのゴムが地面を擦る音が耳に反響する。
接戦の中、私はただぼーっと相馬くんの姿を目で追うことで精一杯だった。
校舎の影で見た2人の姿が忘れられない。
もしかこがこのことを知ってしまったらどうするんだろう。
かこだって私の大事な人だ。
悲しませたくない。
でも、私の想いはどこに捨ててしまえばいいの。
好きだという想いはそう簡単に消えてくれない。
「…ね、かこ」
「ん?」
頬を赤く染めて、祈るように試合を見守っていたかこは小首を傾げて私を見る。
さらり。
細い肩から髪がひと房、滑り落ちて揺れた。
「かこの彼って名前なんて言うの?」
声が震えてはいないか。
私の見間違いなんじゃないか。
そんなことを考えた。
でも、
「相馬聖利。かっこいい名前でしょ」
かこは私の知らない相馬くんの下の名前を知っていて。
また喉の奥が熱くなってぐっと堪える。
「うん、いい名前」
そう言って笑うのは優しさなんかじゃない。
かこに対する嫌な気持ちというのは全くと言っていい程なく、祝福の気持ちも、上手くいって欲しいという願いでさえ変わることはなかった。
自分の中に生まれる感情が、いつも同じ方向を向いているとは限らない。
ただ、それだけのことだ。