桜が散ったら、君に99回目のキスを。
「っ円依……ッ!」


突然、かこの悲鳴のような声が耳を貫いた。


え、と発する間もなく、頭に強い衝撃が走る。


ガタン、と激しい音がして、冷たい床が背中に当った。


生理的に出てくる涙と、かこの泣きそうな声とが混ざってよく分からない。


なに…?


頭が割れるように痛くて、息が詰まる。


ばたばたと駆け寄る人の足と、私の名前を呼ぶ声と、ザワつく会場。


スローモーションでフェードアウトしていく視界の中で、青ざめた相馬くんが2重に見えて、“バチが当たったのかも”なんて笑いたくなった。
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