やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「出てください」
莉緒は携帯を気にする高辻に、電話に出ることを伝えた。
仕事の電話かも知れない。

それに、いったん莉緒は気持ちを落ち着かせたかった。

「はい」
莉緒に背中を向けるようにして電話に出た高辻。
「・・・あぁ。・・・えっ!?いつ?」
急に聞いたことのない明らかに動揺した声の高辻に、莉緒はカクテルに戻していた視線を高辻に戻した。
「わかった。心あたり探してみる。・・・落ち着け。とりあえず、お前は警察に連絡しろ。大丈夫だから。」
電話を切った高辻は莉緒の方を気まずそうに見た。
「どうしたんですか?」
ただならぬ様子に莉緒が聞く。
「息子が・・・いなくなったらしいんだ。・・・探さないとならない・・・妻からの連絡だった」
妻・・・。高辻からの言葉に莉緒は一度は過去に戻りそうになっていた心が、ウインドブレーカーを握りしめている冷静な今に戻れた気がした。
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