やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「新しい部長はなんと30歳ジャストらしいっすよ。」
「30歳?」
古屋の言った年齢があまりに若くて莉緒は記憶の世界から呼び戻された。
「30歳って私とそんなにかわらないじゃない。」
「ですよねー。」
莉緒は今28歳。
2歳しか違わない男がどうして部長になれたか疑問でしかない。
「すごいっすよね。一流大学卒業して、海外でマーケティング勉強して帰国したらしいんすけど、すごいやりてらしいっすよ。一年で主任になって、課長職すっ飛ばして部長っすからね。」
「へぇー。」
古屋は自分の言葉遣いの指摘をしてこない莉緒に相当驚いていることを感じていた。
「どんな人か、楽しみね」
莉緒の返事に古屋は頷く。
「男らしいっすから、先輩狙えるんじゃないですか?」
「バカ言わないの。」
「あ?先輩彼氏いました?」
「古屋君」
莉緒が声を低くする。
「すみません。でも、先輩かなりガード固いから。きれいだし、性格いいし。結婚しててもおかしくないですって。」
「古屋」
更に低い声で莉緒が言うと古屋は「すみません」とまじめな顔をして仕事を始めた。
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