やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「全く・・・」
莉緒もそうため息をついて仕事を始める。

莉緒は、高辻との恋愛のあと、仕事に生きるのだと自分に誓いを立てた。
誰かを愛する情熱を一瞬にして失った莉緒は恋愛に億劫になり、恐れすら感じている。

仕事はその分自分の努力を裏切らない。
自分の存在価値を、自分の努力で築ける。

だからこそ、莉緒は仕事にすべての情熱を注いで、もう一生恋愛はしないとひそかに心に決めていた。


「市橋」
莉緒は仕事中に後ろから声をかけられて振り向いた。
ちょうど昼食休憩の直前。
その声の主はマーケティング部の課長の一人だった。
「はい」
莉緒は自分の席から立ち上がりその声の主である課長の元へ向かう。
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