やっぱりあなたと ～クールな上司は強がりな部下を溺愛する～

課長の隣にはかなり長身の男が立っていた。
課長よりも頭一つ分大きな男。莉緒は立っている課長からその男の方に視線を移した。
身長は180㎝は越えているその男。細身のスーツを着こなし、黒髪短髪。髪はしっかりとセットされている。目鼻立ちがはっきりとしているその男は少し近寄りがたいくらい整った顔をしていた。

莉緒はその男の周りから女性社員の視線を感じた。しかもかなり鋭い・・・。

「新しく部長に就任された片寄部長だ。」
「初めまして。片寄和哉です。」
「こちら、我が部の主任、市橋です。主任になったばかりですがかなり情報を持っている社員です。しばらくは市橋、部長の補佐をしてくれ。」
「・・・はい」
少しの間のあとで莉緒が返事をする。
得意の営業用スマイルで莉緒は挨拶をした。
「市橋です。よろしくお願いいたします。」
頭を下げてからその男の顔を見ると『ぷっ』と吹き出して笑われた。

失礼な奴！内心そう思いながらいると、課長もその男の方を不思議そうに見た。
「すみません。なんでもありません。お気になさらずに。よろしくお願いします。市橋莉緒さん。」