やっぱりあなたと ～クールな上司は強がりな部下を溺愛する～

「思ったよりも工期は順調です。ただ、資材が間に合わず現場が止まってしまうこともありましたし、これからの作業は天気に左右されます。まだ、順調とは言えませんね。」
現場監督に説明を受けながら和哉と莉緒は足場の悪いなか、実際に確認して回った。

「気を付けろ」
和哉は現場監督のすぐ後ろを歩いていて、その後ろを歩く莉緒に足元や頭上を注意するように声をかけてくれた。
「はい」
「ほら」
足場の悪い場所では莉緒に手を差し出してくれる。
『ゴンっ』
それでもヘルメットをして慣れない足場を歩く莉緒は苦戦していた。
「大丈夫か？」
ヘルメットで思い切り頭をぶつけた莉緒を振り返り、和哉が莉緒の顔を覗き込む。
「大丈夫です。ヘルメットってすごいですね」
「ばか」
和哉は莉緒の頭をヘルメットの上から優しくたたいた。