やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「どうして部長が痛そうな顔するんですか」
「痛いだろ。」
「痛いのは私です。」
思わず莉緒が言った言葉に和哉は視線を手当てしている場所に向けながら答える。


「だから痛いんだろ」


その言葉に、莉緒は鼻の奥がなぜかつんとした。

その時ぽつぽつと空から大きな雨粒が落ちて来た。
「振ってきたな。」
和哉はそう言って手当てを終えて立ち上がると、莉緒の膝にかけていた自分のジャケットを今度は莉緒の頭にかけた。
「走れるか?」
「・・・はい」
和哉は空を見上げてから、莉緒の手をギュッと握り引いた。
「雨、ひどくなりそうだから、駅まで走るぞ」
「・・・はい」
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