やっぱりあなたと ～クールな上司は強がりな部下を溺愛する～

「ちゃんとかぶってろよ？」
走りながらも莉緒の足を気遣って、頭にかけているジャケットをかぶりなおさせて濡れないようにしてくれている和哉。
莉緒はそんな和哉に表情が見られないことが好都合だと思いながら、和哉のジャケットで顔を隠した。
「こけんなよ？」
「・・・はい」

何とか駅にたどり着いてから雨が本格的に降り出した。

「ジャケット・・・ありがとうございました。」
「どういたしまして」
駅のホームに入り、莉緒は頭にかけられていた和哉のジャケットを和哉に返した。
ジャケットのおかげで、莉緒はほとんど濡れていない。

降り出した雨で、電車はかなり混んでいた。
その中でも和哉は、莉緒のことを守るように乗ってくれている。

いつだって、手を伸ばせば届く位置で、和哉は自分を守ってくれている。