やっぱりあなたと ～クールな上司は強がりな部下を溺愛する～

「どうしてこんなに急いで帰ってきたんですか？」
うまく言葉にできなくて、泣きそうになるのをこらえて口から出た言葉はそんな言葉だった。

本当は聞きたいのはこんなことじゃない。

和哉は莉緒の口から出た言葉に優しく微笑んだ。

この表情はほかの誰にでも見せる表情ではないと、和哉と一緒に仕事をしてきて、莉緒は知っている。

和哉は莉緒の背中を支える手をぐっと自分の方へ引き寄せた。

再び莉緒の体は和哉の大きな胸の中におさめられる。

「お前が、市橋莉緒が好きだからに決まってんだろ。」
耳元で和哉の低くて穏やかな声が響く。
「好きな人が必死で頑張ってて、頑張りすぎてて、早くそばに行って支えたい。抱きしめたい。お疲れさまってうまいもの食べてのんで、ゆっくり・・・」
「・・・ゆっくり？」