やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
そして、和哉が車をとめている地下の駐車場についた瞬間莉緒の足から力が抜けて、膝がガクッと折れた。

すかさず、すぐ後ろを歩いていた和哉が抱き留める。

莉緒はまた「ばか」といわれるかと思い身構えた。
それでも、和哉の『ばか』も『お前』も嫌いじゃない。

むしろ心地いい。

その言葉は自分にしか向けられないと知っているからだ。
なんだか特別な気がして、ぶっきらぼうな和哉の言葉もうれしかった。

でも、身構えた莉緒の耳に届いたのは、頑張りすぎた莉緒を叱る言葉でも、責める言葉でもなかった。


「よく頑張ったな。お疲れ。」
穏やかな優しい、心から安心する声でそう告げる和哉の表情は満足そうに微笑んでいた。
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