やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
和哉は莉緒を自分の車に乗せると、座席を倒し莉緒の膝に自分のジャケットをかけた。
「ありがとうございます」
「いいえ。もっと倒すか?」
「大丈夫です。このくらいで。」
莉緒がシートベルトを締めると、和哉が運転席に乗り込んできた。

その姿を見て、和哉も疲れているように見える。
「部長も疲れているのに、すみません。」
「ばか。」
「・・・」
和哉は莉緒の頭をぽんと撫でて、車のエンジンをかけた。

「どうしてそんなに部長は頑張れるんですか?」
「ん?」
「いつも誰よりも残業して。現場にも何度も足を運んで。」
「そうか?」
「マーケティングっていう部署を飛び越えて仕事して。」
「・・・」
「その熱量に憧れます。でも私には無理です。」
ふとつぶやくように話した莉緒の言葉に、和哉は少しの間沈黙した。
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