やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「古屋君は?」
「残り3分の1の塗料調達に隣の県に向かってる。」
「え?」
「県内に在庫がなくて、隣の県に在庫があることが分かって、急いで向かってる。先方も待ってくれてるんだ」
「そうですか。遅くなってごめんなさい。」
「いや。」
和哉はワイシャツの袖をまくって作業をしていた。
「私も手伝います」
莉緒はそう言ってヒールの靴を脱いだ。
「ちょっと待ってろ」
そう言って和哉は手にしていた塗料の缶と刷毛を地面に置いた。

莉緒がバックを床に置いて、手にしていた塗料の缶を開けようとしていると和哉が戻ってきた。

「これはけ」
そう言って和哉が莉緒に差し出したのは、シンプルな和哉の車に入っているサンダルだった。
「ありがとうございます」
「それとこれ」
そう言って和哉は莉緒にいつの日か貸したことのあるウインドブレーカーをすっぽりと頭からかぶせた。
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