やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
生まれてすぐに呼吸が弱くNIⅭUに入院することになった息子の血液検査の結果を聞いた時のことを思いだす。

妻と自分の血液型では生まれるはずのない血液型。

目の前で頭を下げ続ける妻に、高辻はなぜか心が痛んだ。

「私・・・取り返しのないことをしました・・・ごめんなさい・・・本当に・・・」

涙で言葉が詰まる妻。

こうして目の前で謝る妻を見ていると自分の心も痛む。

それは妻に同情しているからじゃない。

謝らなくてはならないのは自分もそうだ。
俺こそ最低なことをたくさんした。

妻をないがしろにして、結婚したからっていつもいてくれることをあたりまえと思って、ちゃんと向き合わなかった。大切にする努力すらしなくなっていた。

そして、息子が自分の子供じゃないとわかった時、その時から距離をとった。
妻に背を向けて・・・息子にも背を向けて・・・まっすぐに二人を見つめることができなかった。
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