やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「まっ。こんなこと言ってもお前はこれからシャワー浴びて出勤するんだろ。」
和哉は莉緒のことをよくわかっている。まるで前から莉緒を知っているかのようだ。
「今日は定時で帰れ。それから、今日の仕事内容は俺が指示するからな。」
そう言って和哉は車に戻った。

そして、手を振り車で去って行く。

莉緒はその後ろ姿を見ながら小さくため息をついた。


追いつきたかった。あまりにも自分から遠い存在だった高辻の隣に並べるようにと必死に努力をしてきた。

高辻に追いつけないまま、一人仕事に生きることを決めた時、余計に仕事に対する努力を惜しまずしてきた。

いつの間にか自己犠牲型といわれても仕方ないくらい、自分の範囲以上にがんばりすぎていることに莉緒は和哉の言葉で気が付いた。
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