やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「で?なに?」
莉緒が話の続きを聞きながらカバンから必要なものやいつも使っている店のことをかきこんだ自分の手帳を出して並べた。
「その部長がかなりのやりてらしいんっす。」
「敬語」
「すみません」
興奮するとつい体育会系の言葉に戻る古屋にちらりと視線を向けてから莉緒は小さくため息をついた。
「私たちも頑張らないと、ちゃんと評価してもらえるようにね。」
莉緒は古屋の方を見る。
「はい!」
マーケティング部は会社の中でもたくさんの人脈や企業と繋がる重要な課のひとつ。情報を精査したり、自分の知識として仕事につなげ結果を出せなければほかの部署への移動もある、いわば生き残りも厳しい世界だった。
現に、莉緒が最近主任になったが、前任の主任は成績を残すことができずに、営業に回されることになった。
「前の部長はちゃんと評価してくれてましたもんね、俺たちのこと。」
古屋と莉緒は去年まではペアを組んでたくさんの仕事をしていた。
莉緒は前の部長というワードにピクリと体が反応した。
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