やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「にしても、高辻部長はすごい人でしたよね。成績も抜群によくて優しくて。顔が広くて。」
「・・・そう?」
「そうですよ。だからこそ、企画執行部の部長に抜擢されたんじゃないですか。」
「・・・そうね」
古屋が興奮気味に話しをする。莉緒はちらりと空席になったその席を見た。

マーケティング部は社員50名ほどでなされている大所帯。その中に部長は一人。課長は3人。主任は5人。

莉緒と古屋の座っているデスクのちょうど横にあたる窓際に部長の席はあった。

『今度、課を移動するんだ。』
『どこに?』
『企画執行部の部長だ』
『すごい!夢だった課じゃない!』
『あぁ』
莉緒の記憶がよみがえる。
笑うとできるしわを深めながら笑いかけるその人の声を、姿を。
いつも莉緒を見つめる瞳が優しくて、この人の隣にいればすべてを包み込んでもらえるような優しさを感じることができた。
< 9 / 413 >

この作品をシェア

pagetop