やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「話があるんだ。ちゃんと話がしたいんだ。」
少し小さな声で言う高辻。
「私は話はありません」
ここで気持ちを許したらダメだ。
もう二人になることも、話をすることもダメだ。
莉緒はギュッと両手を握りしめて自分にストップをかける。

「莉緒」
高辻に名前を呼ばれて、莉緒は高辻の方を鋭い目で見つめた。

視線に”ここは会社だ”というメッセージを込めると高辻もあたりをきょろきょろとして、莉緒の言おうとすることを察したようだった。

「いつもの店で8時。来るまで待ってる。待ってる。」
高辻は莉緒の耳元でささやくと莉緒の前から立ち去った。

高辻がその場から離れても、莉緒の足は少しの間動かなかった。
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