やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
忘れよう。忘れるんだ。もう、忘れたんだ。

そう心に言い聞かせて来たのに、簡単にまだ自分の気持ちが揺れる事実に莉緒はがっかりした。


一日中、高辻の言葉が頭から離れないまま仕事をした莉緒。
ふと手を止めると高辻の言葉が頭に浮かぶ。

『いつもの店で8時。来るまで待ってる。待ってる。』

ずるい・・・。今更話がしたいなんてずるい。
ある日突然自分に背中を向けて去って行ったのに・・・。

「市橋」
「はい」
手が止まっていた莉緒に和哉が声をかけた。
「大丈夫か?」
「はい。少し考え事をしていました。」
「そうか。」
「なんですか?」
「ほしいデータがあるんだ。どこに保存されてるか知りたい。」
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