やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「切羽詰まった顔してるから。」
「え?」
「渡しとく」
和哉はそう言って莉緒に微笑んだ。そして「お疲れ」と自分のデスクにすぐに戻ってしまった。

莉緒は渡されたウインドブレーカーをギュッと握りしめてから、会社を出た。

時計を見ると8時をすでに回っている。

向かう先は・・・

高辻との待ち合わせ場所でよく言っていたホテルの中のバー。
何を話そうか緊張をしながら一歩一歩ホテルの中を進んでいく。
その手には和哉のウインドブレーカー。

自分の気持ちが揺らがないように、ギュッと握りしめてはなさずにバーの扉を開けた。
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