やっぱりあなたと ~クールな上司は強がりな部下を溺愛する~
「・・・」
2人を重たい沈黙が包み込む。

「これ、好きだっただろ?」
高辻が頼んだのは莉緒が好きだったカクテルだった。
「・・・」
何も言わずに莉緒はカクテルにも手を付けない。

「莉緒」
高辻が何も反応をしない莉緒の方に体をむけた。
「本当にすまなかった」
大きな体。いつも優しさの中に揺るがない軸を持っていて、莉緒は上司として高辻を尊敬していた。そんな高辻が自分に頭を下げている。
それだけで莉緒は涙が出そうだった。
でも、泣いたらいけないとギュッと唇をかみしめる。
「謝らないでください。気づかなかった私も悪かったんです。」
何とか震える声で言った莉緒。
その言葉が高辻の心に突き刺さった。
「ごめんな・・・。」
ぐいっとブランデーを口にして再び謝る高辻に莉緒は目の前にあるカクテルに口をつけた。
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