僕らだけのsweetie

「ここね。次の依頼場所は……」

片手に地図、大きな銃を背負った女性は呟いた。栗色の髪が揺れ、山道を歩いているうちに着崩れてしまった黒い戦闘服の襟を正す。これから戦いが始まるのだ。緊張が胸に走る。

女性ーーーオーブリー・アルベルタは、一見するとどこにでもいる普通の若い女性だ。しかし、その職業は悪魔や吸血鬼専門のハンターをしている。

人々の身近に、精霊や悪魔などの存在がいることが当たり前になったこの世界では、当然人間に害のない者もいれば人間を襲う者もいる。人間に危害を加える存在をオーブリーは排除することが仕事だ。

悪魔や吸血鬼のハンターとして働く人は少数で、オーブリーは年中あちこちの国を旅している状態だ。今日も、故郷から遠く離れたこの村にやって来た。

「さて、まずは敵に関する情報を集めないとね」

今回の戦いの場は、山々に囲まれたのどかそうな村だ。オーブリーは村人に話を聞こうと足を早める。