宝石龍と不良
三粒

ー竜胆の気持ち

最初から俺は気になっている奴がいた
白いマスクで興味なさそうに俺の方を見る奴
俺はマイクテストを終えて自分の立ち位置に戻る
まさか教室が同じとは思わなかった
「翡翠です」
たったそれだけ言うとまた席に座る
そいつが帰ろうとしている途中、机に手を置く
「お前、人嫌いか?」
翡翠はあからさまに嫌そうな顔をして
「だったら何?」
と言ってきた
俺は苛立ち拳を振る
翡翠は俺に触らず避けた
「な!?」
避けたことに驚く
翡翠はスタスタと歩き去る
次は回し蹴りがきたがそれも避けられた
「弱いね」
俺は鼻で笑われた
絶対勝つ
俺は苛立つこの気持ちを抑え
そう思った
翌日
屋上でサボる翡翠を見つけた
俺もサボろうとしたし丁度いい
「テメェ、さぼんなよ」
そう言うと
こいつさえいなければと言う顔をして
「………」
無視を突き通す翡翠
俺は翡翠に近付きじっと見る
「お前女だったんだな」
(気が付かなかった)
「だったら何」
翡翠は俺を睨む
「戦えや」
俺は構える
「面倒いし、興味ない」
翡翠は断り、のんびりと欠伸をする
俺は翡翠に触れようとした
「触んな、殺すぞ」
翡翠の鋭い目つきに俺は下がる
(今の圧はヤベェ)
「俺が怖いか?」
鼻で笑う翡翠は少し怖い
「怖かねぇ」
「震えてるぜ?、餓鬼」
翡翠は俺を煽る
俺が殴ろうとすると
翡翠は避けて帰ろうとしたが俺は腕を掴む
「っ!?」
翡翠は目を見開いて固まる
「待てや!って」
俺も目を見開く
だって
翡翠の怯えた目が俺を映したから
翡翠は俺の手を振り払い睨む
「二度と近付くな」
俺は
「お前って」
お前を
「殺すぞ」
傷付けた
それだけ分かった頃には翡翠の姿はない
俺は息を荒くしてしゃがみ込む
学校一恐れられている俺があいつ如きに怯えていた
そして
あいつを傷付けたことがなぜかとても苦しかった
謝らねぇと
って思ったが
あいつはきっと許してくれない………
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