今宵、君を独り占め〜ヤンデレ彼氏〜
彼女side



彼は、付き合い始めた学生の頃から何でも私の望みを叶えてくれる。

ほしいとSNSで呟いた高いネックレスも買ってくれたし、行列のできるケーキやパンも買ってくれる。一緒に暮らすようになってからは、身の回りのことを何でもしてくれるようになった。私は、彼なしじゃもう生きていけない。

でも、時々彼のことを怖いと思う時がある。私が何気なく、「あの人あんまり好きじゃない」みたいなことを言うと、その人は謎の死を遂げているんだ。事故って処理されてるけど……。

彼に言ったら、「どうしてそんなこと言うの?嫌いな奴が消えたんだよ?」って返ってくる。まさか、彼が……?いや、そんなわけないよね。こんなの考えすぎだよ。彼が殺すはずない。

「じゃあ、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

彼に見送られ、職場に向かう。職場はここから目と鼻の先だから、彼に送ってもらわなくても平気なんだ。

でも、翌日私は恐怖で体を震わせることになる。だって、上司が駅のホームから落ちて電車に跳ねられたってニュースでやっていたから……。
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