月夜ノ約束
入学式が終わり、私は足早と先生に呼ばれた。

「白鳥さん?今日はどうして遅刻を?」

どうして先生達はこうも遅刻理由を聞きたがるのか。
そんなことを考えながら

「華麗な寝坊です」

寝坊に華麗なものなどあるのだろうか。

「そうか…にしてもなぁ、入学式早々から遅刻って。おまえ…」

先生が言いたいことは分かる。ただ言い訳させて下さい。
目覚ましが鳴らなかったのとお母さんが起こしてくれなかったのです。

そして、朝の彼のことを思い出した。

「先生。私の他にも遅刻者いませんでしたか?」

そういえば彼の名前を聞くのを忘れたのだ。
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