堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
プロローグ*求愛の夜
『し、志門さん……そんなところ……』
『ん? ……くすぐったい?』
赤と金の装飾が豪華なベッドの上。着なれないロングイブニングドレスの裾の向こうに、ダークブロンドの髪が揺れている。
そこでは薄茶色の瞳を伏せた美しい男性、京極志門さんが、私のつま先に丁寧に口づけしていた。
『いえ、そうじゃなくて……』
一日歩き回った後で汗をかいているし、匂ったらどうしよう。彼を萎えさせてしまうのでは……? いろいろな不安が胸に渦巻く。
しかし志門さんはそんな乙女心などお構いなしに、とうとう親指を丸ごと口に含んでしまう。キャンディでも舐めるみたいに楽しげ舌を動かし、ときどき爪に歯を立ててかちかち音を鳴らしたりする。
触られているのは足だけなのに、お腹の奥がきゅう、と熱くなる。
『志門さん……恥ずかしいです』
羞恥に赤く染まる頬を隠すように両手で顔を覆うと、彼は一旦私の指を口から出して、今度は足の甲にチュッと口づけてから、少し困った顔で笑う。
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