堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「もしもし、お兄ちゃん?」
《瑠璃、仕事は終わったのか?》
「うん。今お店出たとこ」
《なら迎えに行くから、どこか近くの店でお茶でもして待ってて》
「ホント? ありがとう。お店決めたら連絡するね」

 兄は土日休みなので、用事がなければこうしてたまに私のバイトの送迎をしてくれるのだ。

 バイトは家からの距離より大学から近いという理由で選んだため、電車で家に帰るには一度乗り換えしなければならず、ちょっとだけ不便。疲れている時は車の方が断然楽なのでありがたい。

 私は近くのコーヒーショップに入り、窓際のカウンター席を確保するとカフェインレスのカプチーノでホッとひと息つく。

 妊娠するまではそんなメニューがあることすら知らなかったけれど、試しに注文してみたら普通のカプチーノと比べても遜色ないくらい美味しくて感心した。

 つわり中でもコーヒーの香りは嫌じゃないし、疲れが癒されるなぁ……。

 まったりと飲み物を楽しみながら、スマホで今日のニュースなどをぼうっと眺めることおよそ三十分。兄から『着いた』と連絡が入って、私は店を出た

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