堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
店のそばの路上で待機していた兄の車に乗り込むと、運転席から「お疲れ」と優しい声がかけられる。
「うん、ただいま」
いつものように返事をしつつも、つい兄の表情を窺ってしまった。しかしとくに怒っている様子も、最近ずっと纏っていた近寄りがたいオーラもない。
もしかしたら志門さんと私の結婚のこと、認めてくれる気になったのかな……?
走り出した車の揺れに黙って身を任せつつそんな期待をしていると、兄が不意に口を開いた。
「今日……うちにアイツが来たぞ」
「アイツ……? 誰が来たの?」
「京極志門」
「えっ!?」
なにそれ……! 志門さん、私にはなにも話してくれてないんだけど!
兄は衝撃を受けて固まる私をちらりと一瞥し、すぐに前に向き直って語る。
「どうやって調べたのか知らないけど、平日俺の会社に来てさ。俺と母さんに挨拶をしたいから、時間の取れそうな日があれば教えてくれって頼み込んできた。俺も色々アイツには言いたいことあったから、望むところだって感じで、日曜にうちに来いと言ったんだ」