堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
そんなことを考えていると車が赤信号で停まり、兄がぶっきらぼうに言った。
「だから、俺はもう反対しないから。したいならしろよ、結婚」
顔を上げると、兄は〝仕方がないな〟とでも言いたげな苦笑を浮かべて私を見ていた。
「……ありがとう。お兄ちゃんならわかってくれるって思ってた」
「だよなぁ。俺も、かわいい瑠璃に泣きつかれたら最後には自分から折れるしかないってわかってたよ。我ながら、なんて優しい兄なんだ」
「うん。優しいお兄ちゃんを持って幸せです」
「あ~、そんなかわいいこと言われるとやっぱ手放すの惜しくなってきたなぁ」
大げさに嘆く兄がおかしくて、クスクス笑う。一時はぎくしゃくしてしまったけれど、お兄ちゃんとこうして普通に会話ができるようになったよかった。あとで志門さんに電話して、お礼を言わなきゃ。
帰宅して、夕食とお風呂を済ませた後、私は自分の部屋でドキドキしながら彼に電話をかけた。ベッドに座ってクッションを胸に抱き、耳元のスマホの呼び出し音が途切れるのを待つ。
志門さんからは『いつでも電話して』と言われているけど、実際に自分からかけるのは初めてなので緊張する。