堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

《よかった。これで心おきなく結婚に向けて動き出せるな。近いうちに、うちの両親にも会ってほしい》
「もちろんです。私もきちんとご挨拶がしたいです」
《じゃあ、俺が予定を聞いて食事会を計画するよ。でも、その前に瑠璃とふたりきりで会いたいな。俺たち、まだウィーンでしかデートしてないだろ?》

 そういえばそうだ。デートどころか、日本に帰ってから彼と会ったのは、私が倒れたあの日だけ。

 これから結婚するのだから、もっとお互いを知り合ったほうがいいというのもあるけれど……それよりただシンプルに、志門さんと会いたい。

「私もしたいです、デート」

 照れながらも素直な気持ちを口にすると、志門さんが穏やかな声で言う。

《決まりだな。瑠璃はいつなら都合がいい?》
「バイトの休みは平日ですけど、それだと志門さんがお仕事ですよね……。あ、来週の日曜なら私、十五時上がりです。それから会うのはどうですか?」
《ああ、問題ない。じゃあ十五時過ぎに、車で店に迎えに行くよ》
「楽しみにしてます」
《俺もだ。瑠璃とのデートのために、この一週間仕事を頑張るよ》

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