堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

「今日はどこへ行くつもりなんですか?」
「ウィーンでも瑠璃とは色々な建築を見たけど、東京にも面白い建物の美術館があるから、まずはそこへ。その後はまだ内緒だ」
「内緒?」
「そう。瑠璃を驚かせたいからね」

 なんだろう。そんなふうに予告されたら、素敵なサプライズでもあるのかと期待しちゃうな。

 ……でも、サプライズなら実は私からもある。

「こっちもまだ内緒ですけど、あとで志門さんに渡したいものがあります」
「渡したいもの? さっきのユーロの他に?」
「はい。私とお揃いのものです」
「お揃いか……どんなものだろう。想像がつかないが、楽しみにしているよ」

 〝あれ〟を渡したら、いったい志門さんはどんな反応をするだろう。その時の彼の表情を見るのが、今日は楽しみで仕方がない。

 三十分ほど街中をドライブして着いたのは、六本木にある大きな美術館だった。緑あふれる大きな広場の奥に見える波打ったガラス張りの外壁が、午後の日差しを受けて眩しく輝いている。

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