堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「東京にこんな美術館があるなんて知りませんでした」
「ここはちょうど俺が大学生の頃に開館してね。展示も面白いが、美術資料も豊富にそろっているから、勉強のためによく訪れたんだ。中にはレストランやカフェもあるし、一日中いても飽きない」
志門さんはそう言って、懐かしそうに目を細める。
「志門さんの思い出の場所なんですね」
「そう。だから瑠璃を連れてきたんだ。瑠璃にはこれから、そういう過去も含めて、俺のことを少しずつ知ってほしいと思ってるから」
「そうですね。私たち、これからたくさんお互いを知り合わないと」
大好きな彼の色々な面を知っていくことは、とってもわくわくする作業だと思う。まだ学生だった志門さんが、この美術館で、自分の将来について思いを馳せながら勉強していたんだなと思うだけでも、胸がときめくもの。
早速美術館に入った私たちは、ちょうど開催されていた、世界各地の絵本をテーマにした作品展をゆっくり見て回る。
展示室には壁にそって様々な絵本の数々が並び、手に取って読むことが可能だった。他には絵本作家が描いた美しい原画や、有名な絵本の世界をミニチュアにした、かわいい箱庭も展示されている。