堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
わけがわからないまま彼に手を引かれ、警備会社のシールが貼られた門から中に入る。すると小さな階段があり、その先に玄関ポーチがあった。
志門さんはドアに埋め込まれた小さなボタンを押し、そこにカードキーをかざす。途端にカチャっと解錠音がして、ドアが開いた。
「覚えた? 鍵の開け方」
「はい、まぁ……。でも、どうして私が覚える必要が」
「瑠璃も使うことになる玄関だからさ。そろそろ気づかないか? この家の意味に」
志門さんに顔を覗き込まれて、私はやっとある可能性を思いつく。
私に気に入ってほしい、そしてこの先私が使うことになる家。それはつまり……。
「私と志門さんの家……?」
「ああ。今までは俺がひとりで住んでいたから、不便なところもあるかもしれない。でも、すぐに言ってもらえれば、瑠璃が引っ越してくる前に直しておくよ」
聞けば、志門さんはご両親や祖父母から常に結婚を急かされていて、ウィーンでの舞踏会で結婚相手を探せという指示のほか、自分の家族を持った時のために前もって家を建てておけと言われていたそうだ。