堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
お風呂がガラス張り……? 言葉だけ聞くと、まさか外から見えるんじゃないかという恐れを抱いて身構える。
しかし実際に見てみると、バスルームの外に広がるルーフバルコニーは壁をきちんと高く作ってあるため、プライバシーはきちんと守られつつも開放感を味わえる、計算された設計だった。
「こんなお風呂だったら、疲れもすぐに吹き飛びそうですね」
「早く入りたいな、一緒に」
「はい。……えっ? いや、今の〝はい〟に決して深い意味は……!」
つい頷いてしまってから、恥ずかしいことを言ってしまったと気づいて慌てる。志門さんはおかしそうにクスクス笑って、背後からふわりと私を抱きしめた。
「瑠璃は嫌なの?」
彼の甘いバリトンボイスが、耳元で内緒話のようにささやく。
「い、意地悪なこと聞かないでください……」
本心では嫌じゃないって、ハッキリ伝えられるほど私は大人じゃない。けれど、そんな心の内も志門さんはお見通しなのだろう。
彼は余裕たっぷりにふっと息を漏らして笑い、私の肩に絡めていた腕をほどくと、何事もなかったかのように「じゃあ次は二階」と階段の方へ向かっていく。