堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~

 からかわれたんだと気づいて、恥ずかしいやら悔しいやら。それでも結局は「待ってください!」と彼を呼び止め、振り返った彼に手を差し出されると、むくれながらもそこに自分の手を重ねてしまうのだった。

 二階には、夫婦の寝室と志門さんの書斎があった。その他にも、使っていない部屋が各階にひとつずつあって、出産を終えて三人家族になったとしても持て余してしまいそうな豪華な家に、私は圧倒されてばかりだった。

 ひと通り部屋を見終わると、リビングのソファに志門さんと並んで座り、ひと息ついた。

 このソファだって、ふたりで座るだけじゃもったいないくらい、私たちの両脇にはスペースが余っている。だからと言って、寝転ぶなんてお行儀の悪いことができそうなソファでもない。

 志門さんなら、長い脚をゆったり組んで、紅茶を片手に英字新聞を読んだりしたら似合いそうだけれど……。

「こんな素敵な家に住むことになるなんて、実感わきません」

 正直な心境を吐露すると、志門さんの大きな手が私の頭にポンと乗り、優しく髪を撫でる。

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