堕とされて、愛を孕む~極上御曹司の求愛の証を身ごもりました~
「ふ、ぅ……っ」
角度を変え、何度も繰り返される激しい口づけに、私の口からは海で溺れてしまったような喘ぎが漏れる。
しかし、志門さんは私が溺れないギリギリを心得ているかのように、時折息継ぎを許してはまた唇を塞いで、甘い唾液を纏わせた舌で、私の口内をまさぐった。
苦しいのにやめないでと願いながら、自分からも舌を絡ませる。体が勝手に、ウィーンで彼に抱かれた時の感覚を思い出して、甘く疼いた。
「このまま抱いてしまいたいけど……そろそろ、時間切れだな」
志門さんが、名残惜しそうにつぶやいた。
「時間、切れ……?」
トロンとした瞳で彼を見つめ、そう尋ねた瞬間だった。ピンポーン、とチャイムの音が鳴り、志門さんが「ディナーが来たよ」と微笑む。
私はキスの余韻でぼうっとしながらも、そういえばお腹が空いていたなと気がついた。
インターホンに応答し、その後玄関に向かう志門さんを見ながら、おそらくデリバリーの食事でも頼んだのだろうと私は予想していたのだけれど――。